これから執筆(テクニカルライティング)をはじめる人のためのメモ

この記事は鷹野雅弘によって執筆されました。
公開日:2008年11月12日、更新日:2015年1月 4日
 

テクニカルライティング、つまり、マニュアルや技術的な解説を目的とした執筆は、小説などを書く作業とは大きく異なります。 突き詰めていくと、同じとも言えないくはないのですが、テクニカルライティングには基本的に、芸術的な意味での「文才」や、"ひらめき"は不要です。

次の手順に沿って進めればそれなりの文章にはなります。

  • まず、テーマの沿ってネタとなる小さなトピックを「項目出し」します。単語、または短く"言い切り"のままで、文章にする必要はありません。この時点では、順番などを考えず、また、ボツになりそうなものも入れておくとよいでしょう。
  • ネタをグルーピング(分類)して、ラベル(見出し)を付けます。どこにも属さない、または、ネタは「ペンディング」のグループに入れておきます。
  • できれば、この段階で1日くらい寝かせましょう。すると「そういえば、アレもあった」と出てくるハズ。
  • グルーピングしたものを順番などを検討しながら、過不足がないかを再検討します。この段階では「流れ」を重視します。
  • 「この文章全体で言いたいことを一言でいうと?」という視点で見ながら、詰め込みすぎてしまっている場合には、バッサリ切り捨てましょう。この勇気を持つことは大切です。
  • ここまでの「骨組み」ができたら、ようやくネタを文章にします。
  • ある程度できたら、少し寝かせて(=時間をおいて)新鮮な目で文章をチェックします。その際、音読しながらチェックすると、流れやリズムをチェックするのに役立ちます。

ざっくり書いたら、校正を行う上で気をつけなければならないのは次のようなことです。

  • 固有名詞を正しく使っているか。漢字やスペルや金額など、"裏"を取っているか。
  • 平易な日本語を使っているか。漢字が多すぎないか。
  • 同じ語尾を繰り返していないか。
  • バイト語「〜になります」「〜の方」などを使っていないか。
  • 「〜でしょう」「かもしれません」など、あいまいな語尾が多すぎないか。

「私には文章は書けない」と思い込んでいたり、また、途中でやめてしまう方の原因は、骨組みを構築しようとせずに、イキナリ書きはじめてしまうことにあります。 文章を書き慣れると、イキナリ書き始めてもそれなりにはなりますが、ネタを漏らしていたり、また、後から思いついた場合、大きな修正が生じるため非効率です。

そういう意味では、クライアントがいる場合には、項目出ししてグルーピングを行い、ある程度の骨組みができた時点(つまり文章にする直前)でチェックを仰ぐと、ロスが減ります。

実は、この作業の流れはプレゼンテーションの準備でも同様です。すぐにスライド作成でに取りかかるのではなく、じっくりとシナリオに時間をかけると、スライド制作にかかる時間を短縮できるはずです。

ご参考:

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