フォント関連 2017年のまとめ

この記事は鷹野雅弘によって執筆されました。
公開日:2017年12月27日、更新日:2018年1月 3日
 

TV番組「マツコの知らない世界」にフォント特集が組まれたり、「フォントかるた」がヒットし、一般紙でも取り上げられるなど、フォントに対する注目度が高まった1年でした。

また、源ノ明朝のリリースに合わせて、4月10日が「フォントの日」(ダジャレ的な語呂合わせ)に登録されました。

新書体

定番のLETS、MORISAWA PASSPORTの新書体の加え、多くのフォントがリリースされました。

その他の新書体

まとめ

こちらのまとめも参照されてください。

筑紫Q明朝

リリース前から文字っ子界隈で話題になっていた筑紫Q明朝がリリースされました。

源ノ明朝

2015年にリリースされた「源ノ角ゴシック」の明朝版、「源ノ明朝」が4月10日、「フォントの日」にリリース。「源ノ角ゴシック」同様、7ウエイトで展開される無料フォント。

オープンソースのため、源ノ角ゴシック同様、これを改変したフォントがどんどんリリースされています。Google版の名称は「Noto Serif」です。

ゴシック明朝
アドビ源ノ角ゴシック源ノ明朝
Source Han SansSource Han Serif
GoogleNoto Sans CJKNoto Serif CJK
リリース2015年7月2017年4月

ビャンビャン麺の「ビャン」

源ノ明朝は、漢字の中でも一番画数が多いビャンビャン麺の「ビャン」をサポートしていることも注目を集めました。

「⿺辶⿳穴⿰月⿰⿲⿱幺長⿱言馬⿱幺長刂心」を入力して、フォントを「源ノ明朝」または「Noto Serif」に設定すると「ビャン」(ビアン)の漢字になります。

貂明朝

Adobe MAX Japan 2017に併せて、アドビから「貂明朝(てんみんちょう)」がリリースされました。オールドっぽいテイストのあるかわいらしいフォントです。なお、来年のアップデートでカラーフォントとして利用できるようになるようです。

絵文字、アイコンフォント

ハンバーガーの絵文字

Androidに搭載されている絵文字の「ハンバーガーのチーズの位置が違うのでは?」「ビールのジョッキが満杯でないのに、泡があるのはおかしい」というツッコミが入り、およそ1ヶ月でアップデートされました。

Font Awesome 5

Font Awesome 5の正式版がリリースされました。LINEのアイコンが増えるほか、Proバージョンもリリースされています。

アドビ(Illustrator、Photoshop、InDesign)

Typekit

9月に74の和文フォントが追加。これで和文フォントは、88ファミリーになりました。こうなると、「同期でるのは100書体まで」という制限が厳しい。

今回加わったフォントメーカー4社。

  • 視覚デザイン研究所
  • 字游工房
  • タイプバンク
  • 大日本印刷

なお、前述した「源ノ明朝」、「貂明朝」もTypekit経由でインストールします。

Typekit Marketplace

日本語環境ではサポートされていませんが、Typekit Marketplaceという取り組みが12月からスタート。

カラーフォント(OpenType SVGフォント)

Photoshop CC 2017のみ、先行してカラーフォントに対応していましたが、CC 2018で足並みが揃いました。

Illustrator CC 2018ではベクトルベースのカラーフォントに対応しているため、Fontselfと併用することでフォント制作のプラットフォームにもなります。

バリアブルフォント

鳴り物入りで出てきた割に、どうなんだろうという感じですが、「ひとつのフォントファイルを使い、ファイルサイズを拡大することなくウェイト(太さ)や幅やその他の属性を無限に変更」することができるバリアブルフォントをIllustrator CC 2018、Photoshop CC 2018がサポートしました。

まとめ

 カラーフォントバリアブルフォント
Illustrator CC 2017
CC 2018
Photoshop CC 2017
CC 2018
InDesign CC 2018

書籍・雑誌

セミナーイベント

FONTPLUS DAY

隔月くらいのペースで開催されるFONTPLUS DAYは、もはや定番イベントになりつつあります。

その他

Monotype主催のイベント、Type&(タイプアンド)11月に2日間で開催されたほか、ほかにもたくさんのイベントが開催されました。

その他のニュースなど

トレンド

ここ数年のトレンドとして、次の2つがあります。

  • 手書き風デザイン書体
  • アナログ風味、オールド系

2017年も、この流れが色濃く出ました。

手書き風デザイン書体

アナログ風味、オールド系

テキスト表現

次のような表現が見られました。そのほか、「透けないボーダーに白抜き」やテキストの斜体化が増えてきたように思います。

  • テキストへのグラデーション
  • チカラワザ・スウォッシュ

テキストへのグラデーション

テキスト全体に横方向へのグラデーションがちらほら見られました。

最近見かけるテキストへのグラデ

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アップルのサイトやCMでも多用されています。

チカラワザ・スウォッシュ

ポスターなどで、アウトライン化したテキストを「チカラワザ」でスウォッシュ処理する装飾がよく見られました。

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ご参考

ウェブフォント

ウェブ制作の方では、ウェブフォントの利用が一般的になりつつあります。

提供ベンダー

次のベンダーから提供されているウェブフォントは、ダイナミックサブセッティング(必要なフォントのアウトラインデータのみを送信すること)に対応しています。

アドビのTypekitで提供されている和文フォントもウェブフォントとして利用できるほか、Googleからは早期アクセスとして利用できます。

  • M+ 1p
  • Rounded M+ 1c
  • はんなり明朝
  • こころ明朝
  • さわらび明朝
  • さわらびゴシック
  • ニコモジ
  • ニクキュウ
  • Noto Sans Japanese

ウェブフォントのよい点

サイト利用者、日々の運用、制作会社、表現に関して、次のようなメリットがあります。

  • スケーラブル(デバイスを問わず、シャープに表示できる)
  • 色変更に対応できる(反転するなど)
  • テキストを選択、コピーできる
  • 多言語展開しやすい(ユーザーがブラウザー上で翻訳することも可能)
  • メンテナンス性が高い(テキスト変更やパーツの追加)
  • 検索対象になる(SEO効果)
  • 文字詰め可能
  • プリントメディアとの整合性をとりやすい

ウェブフォントの悪い点

表示速度、費用、組版(美意識と可読性)などの点で懸念すべき点があります。

  • 費用がかかる
  • 本文なのに、句読点を詰めてしまうと読みにくい
  • 書体が主張しがち(ないように)
  • Windows環境でのレンダリングがキレイでない
  • 速いといっても、環境によっては読み込みに時間がかかる

FONTPLUS、TypeSquareは、コントロールパネルで文字詰めをオンにすることができます。句読点も詰まってしまうので、本文には不向きです。

また、フォント指定に不慣れが方が使いはじめると、多様なフォントを使い過ぎてしまうことがあります。

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