フォント管理 2014(OS X Mavericks+Font Book.app編)

この記事は鷹野雅弘によって執筆されました。
公開日:2014年4月25日、更新日:2014年11月12日
 

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末尾に追記していますが、モリパス(MORISAWA PASSPORT)など、たくさんの書体をインストールされる方には不向きです。

フォント管理はFontExplorer X Pro一択オシなのですが、有料でそれなりにすることもあり、検証に検証を重ね、Font Book.app編(OS X Mavericks)を作成してみました。

パレートの法則よろしくインストールされているフォントの中で使うものは一握りです。デフォルトの状態では、OSやAdobe CS/CCなどでインストールされるフォントがすべて表示されるため、フォントメニューには使用しないフォントがたくさん表示されます。

IllustratorやMac OSを再起動せずに、フォントメニューに表示するフォントをコントロールできるように環境を整備する方法をご紹介します。 メニューに表示されるフォントの数を少なくすることで、スピーディにフォントを選択できるだけでなく、OSやアプリケーションの起動時間が短くなるという効果も得られます。

フォント管理を行った最小限の状態

フォント管理によって、Illustrator CCのフォントメニューはここまで短くできます。

フォントのインストール場所

「インストールされたフォントを整理し、最小限のフォントのみ残す」前に、フォントがどこにインストールされるのかを確認しておきましょう。Mac OS Xには、いろいろな場所にフォントがインストールされています。

インストール場所挙動
システム/ライブラリ/Fonts基本的にはアンタッチャブル
ライブラリ/Fontsすべてのユーザが使えるフォント
Adobe CSのフォントはここにインストールされる
ライブラリ/Application Support/Apple/Fonts/iWork/iWorkがインストールするフォント
Illustratorなどでも使うことができる
ユーザ/(ユーザ名)/ライブラリ/Fontsそのユーザだけが使える
ユーザ/(ユーザ名)/ライブラリ/Application Support/Adobe/Fontsアドビのアプリだけが使える(現在、非推奨)
アプリケーション/Adobe InDesign CC/Fonts/InDesignのみが使用できる
アプリケーション/Adobe Illustrator CC/Fonts/Illustratorのみが使用できる
デフォルトではないので、自分で作成する

フォント管理ツール

フォント管理ツールを利用することで、使う頻度が低いフォントをフォントメニューから非表示にすることができます。そのため、フォントの選択やIllustratorの起動がスピーディになります。

FontExplorer X Pro、Suitcase Fusion、Fontcaseなど有料版の管理ツールには、それぞれアドバンテージがありますが、ここではFont Book.appを使ったフォント管理の方法をご紹介します。

フォント管理の流れ

Font Book.appを使ったフォント管理は、ざっくりと次の流れで行います。

  1. 「ライブラリ/Fonts」のフォントを「使用停止」にする
  2. Illustratorの起動に必要な「Verdana」フォントを使用可能にする
  3. 「使用停止」にしたフォントから、よく使うものを「コレクション」として登録し、使用可能にする
  4. その他のフォント(別途、購入したフォントなど)を、Font Book.appの「ライブラリ」登録し、必要に応じて使用可能にする

フォントを最小限にする

まずは、フォント環境を最小化します。

  1. Font Book.appを起動し、[ファイル]メニューの[新規ライブラリ]をクリックする
  2. 「名称未設定のライブラリ」が追加されるので、「Myライブラリ」などにリネームする
  3. [コレクション]の[すべてのフォント]の下に表示される[コンピュータ]を選択し、[編集]メニューの["コンピュータ"を使用停止]をクリック
  4. 使用停止できないフォントを除き、「切」(使用停止)になる

Illustratorのフォントメニューを開くと、フォント数が減っていることを確認できます。

Verdanaを使用可能にする

フォントの環境を最小化すると、「Verdana」フォントが使用停止になるため、次のような問題が生じます。

  • Illustrator CS6:起動時にアラートが表示されたり、[アピアランス]パネルなどがきちんと表示されない
  • Illustrator CC:起動しない

次の手順で「Verdana」フォントを使用可能にします。

  1. [コレクション]の[コンピュータ]を選択し、検索窓に「Verdana」を入力する
  2. 「Verdana」を選択し、(ウィンドウ下のボタン)をクリックして使用状態にする

Illustratorが問題なく再起動できるかを確認します。

コレクションを登録する

使用/使用停止を切り替えたいフォントの組み合わせを登録していきます。

  1. [コレクション]の[コンピュータ]を選択し、フォントリストから「小塚書体」を選択する
  2. コレクションにドラッグ&ドロップすると、「名称未設定のコレクション」が作成される
  3. 「小塚」のようにリネームする
  4. 同様に、「游ゴシック」や「游明朝」などを登録する

登録したセットは「コレクション」と呼びます。

手持ちのフォントを追加する

インストールされていないフォントをライブラリに追加します。

  1. Font Book.appウィンドウの[Myライブラリ]を選択し、2列目のペイン(領域)に手持ちのフォント(例:「AXIS」フォルダー)をドラッグ&ドロップする
  2. 「Myライブラリ」内に「Axis Std」フォルダーが登録される。
  3. 同様に、フォントを登録していく

ライブラリに登録したフォントはFinderでドラッグ&ドロップしたオリジナルの場所から移動しません。複数ユーザでコンピュータを利用する場合には「ユーザ/共有/」にフォントを置き、そこからドラッグ&ドロップするとよいでしょう。

Type 1フォントの扱い

PostScript Type 1版とTrueType版のHelveticaは、形状が異なるためリフローの原因になります。

Mac OS Xは「/System/Library/Fonts/」内にある「Helvetica.dfont」をシステムフォントとして使っています(「dfont」はTrueTypeフォント)。

Type 1形式のHelveticaをインストールしようとすると、フォント重複のエラーが出てしまいます(Mac OS X付属のFont Book.appでも、FontExplorer X Proでも、扱うことができません)。

Type 1形式のフォントを使えるようにするには、Illustratorアプリケーションと同階層の「Fonts」フォルダーに入れるのがシンプルな方法です。Type1、TrueTypeとも認識します。

[標準フォントを復元](非推奨)

Font Book.appの[ファイル]メニューの[標準フォントを復元]について解説します。ややこしくなるので、使わない方がよさそうに思います。

次のアラートが表示されます。

Creative Cloudアプリケーションがインストールしたフォントなど、Mac OS Xの標準フォント以外のフォントが「/ライブラリ/Fonts(Removed)/(日付)」フォルダーに移動します。

これをコレクションに登録すると、また、「/ライブラリ/Fonts/」に移動してしまいますので、もし、登録する場合には、ライブラリに登録するとよいでしょう。

備考

Font Book.appでは「ライブラリ」と「コレクション」の使い分けが重要なポイントです。

Font Book.appFinderで対応するディレクトリデフォルトでの表示本記事での操作
すべてのフォント--
コンピュータ
  • /ライブラリ/Fonts
  • システム/ライブラリ/Fonts
  • すべて使用停止に(「システム/ライブラリ/Fonts」は使用停止にできない)
  • Verdanaを使用可能に
ユーザ/ユーザ/(ユーザ名)/Library/Fontsデスクトップに移動(複製)した「iWork」フォルダーを登録
ライブラリどこでも「Axis」フォルダーを登録

Font Book.appのコレクションにフォントをインストールすると「/ユーザ/(ユーザ名)/Library/Fonts」に複製されます。インストール先は、環境設定で変更することができます。

追記:

ものかのさんからコメントいただき、リライトしました。ありがとうございました!

ご参考

追記(2014年5月1日):

その後、いろいろ試していたところ、次のような現象がありましたので、共有しておきますね。

  • モリパス700フォント(MORISAWA PASSPORT)とか入れると、レインボーカーソル多発。Font Book.app起動時や、新しくフォントを入れるとき
  • ライブラリにフォントを追加するときに、存在するフォントが見えなくなるときがある。Font Book.appを再起動したり、Mac OS Xを再起動すると見えたりする

手持ちのフォントが少ない方は、Font Book.appで十分ですが、たくさんのフォントを利用されている方は、FontExplorer X Proなどのユーティリティを使われるのがよいと思います。

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