フォント管理2013(10.8対応、FontExplorer X Pro編)
DTP Transitで継続的に取り上げているフォント管理の2013年版です。OS X 10.8(Mountain Lion)、Adobe CS6を前提としています。
デフォルトの状態では、OSやAdobe CSなどがインストールするフォントがすべて表示されるため、フォントメニューには使用しないフォントがたくさん表示されているでしょう。
フォント管理ツール(ここではFontExplorer X Pro)を使用することで、はずしたフォント、および、自分で購入したフォントを、必要に応じてアクティベート(=使用可能にすること)できるように環境を整備する方法をご紹介します。
パレートの法則よろしくインストールされているフォントの中で使うものは一握りです。まず、フォント数を少なくすることで、スピーディにフォントを選択できるだけでなく、OSやアプリケーションの起動時間が短くなるという効果も得られます。
フォント管理を行った最小限の状態
フォント管理を行った後のIllustrator CS6のフォントメニュー
デフォルトの状態でのIllustrator CS6のフォントメニュー
フォントのインストール場所
「インストールされたフォントを整理し、最小限のフォントのみ残す」前に、フォントがどこにインストールされるのかを確認しておきましょう。Mac OS Xには、いろいろな場所にフォントがインストールされています。また、フォントをおくことで特定のアプリケーションのみ使用可能になる場所もあります。
インストール場所 | 挙動 |
---|---|
システム/ライブラリ/Fonts | 基本的にはアンタッチャブル |
ライブラリ/Fonts | すべてのユーザーが使えるフォント Adobe CSのフォントはここにインストールされる |
ユーザー/(ユーザー名)/ライブラリ/Fonts | そのユーザーだけが使える |
ユーザー/(ユーザー名)/ライブラリ/Application Support/Adobe/Fonts | アドビのアプリだけが使える |
アプリケーション/Adobe InDesign CS6/Fonts/ | InDesignのみが使用できる |
アプリケーション/Adobe Illustrator CS6/Fonts/ | Illustratorのみが使用できる デフォルトではないので、自分で作成する |
フォント管理については、Extensis/ソフトウェア・トゥーが配布している『Mac OS X 環境のフォント管理活用ガイド』(PDF)が参考になります。
フォント管理
フォント管理の流れ
フォント管理は、次のような流れで行います。
- フォント管理ツールを使って「ライブラリ/Fonts」のフォントをディアクティベート(使用不可)にする
- ディアクティベートしたフォントからよく使うものをセットとして登録し、アクティベートする
- その他のフォント(別途、購入したフォント)を、フォント管理ツールに登録し、必要に応じてアクティベートする
フォント管理ツール
このエントリーでは、FontExplorer X Proを使った方法をご紹介します(有料:79ユーロ、8000円弱)。ちなみに、対抗馬のSuitcase Fusion 4は、13,440円です。
Illustrator、InDesignのプラグインをインストールすることで、ドキュメント内のフォントを自動でアクティベートする機能がありますが、日本語環境では安定していません。
FontExplorer X Proの初期設定
FontExplorer X Proをインストール後、最初に起動すると、[FontExplorer X Pro Setup Assistant]が開きますので、[Continue]ボタンをクリックします。
[License Agreement]に切り替わったら、[I hereby agree to the license agreement]オプションにチェックを付け、[Continue]ボタンをクリックします。
[Organize Font Files]に切り替わります。[Organize Font Files]オプションにはチェックを付けずに、[Continue]ボタンをクリックします(チェックを付けると、フォントのアクティベート/ディアクティベート時に、フォントファイルを移動するようになります)。
[Import Fonts]に切り替わるので、[Import]ボタンをクリックします(FontExplorer X Proに取り込むフォントを指定します)。
フォントのインポートが終了したら[Continue]ボタンをクリックします。
[Plug-Ins]に切り替わります。ここでは何もせずに[Continue]ボタンをクリックします(IllustratorやInDesignのプラグインをインストールする画面ですが、プラグインはうまく動きません)。
[Updates]に切り替わります。[Check for update at startup]オプションにチェックを付けて、[Continue]ボタンをクリックします。
[Conclusion]画面の[Finish]ボタンをクリックして、初期設定は完了です。
フォント環境を最小化する
FontExplorer X Proを起動します。[LIBRARY]の[System Fonts]の▲をクリックします。
[All Users]を選択し、左側にあるチェックボックスをクリックしてOFFにします([All Users]には「ライブラリ/Fonts」フォルダー内のフォントが表示されます)。
[Warning: Do you really want to deactivate 446 fonts?]というアラートが表示されるので、[Deactivate]ボタンをクリックします(フォント数は同一でないかもしれません)。
[All Users]内のすべてのフォントのチェックボックスがオフになります。
Illustratorを起動し、フォントメニューを開くと次のように表示されます。「システム/ライブラリ/Fonts」のみがアクティブになっているため、フォントメニューはとても短くなっています。
フォントをセットとして登録し、アクティベートする
FontExplorer X Proウィンドウ右上の検索フィールドに「hira」と入力すると、ヒラギノフォントのみが表示されます。
表示されたヒラギノフォントを選択し、[Fonts]メニューの[New Set from Selection]をクリックします。
[SETS]内に新しいセットが作成されるので、「ヒラギノ」のようにセット名を設定します。セットとして登録するとことで、セット単位でアクティベート/ディアクティベートできるようになります。
同様に、小塚フォントを検索し、セットとして登録します。
Illustratorを起動し、フォントメニューを開くと次のように表示されます。「システム/ライブラリ/Fonts」に加え、ヒラギノ、小塚フォントががアクティブになっています。
必要に応じて、[All Users](「ライブラリ/Fonts」フォルダー内のフォント)のフォントをセットとして登録します。
自分のフォントをFontExplorer X Proに登録する
お手持ちのフォントは「ユーザ/共有/Fonts」においておくとよいでしょう。
アクティベートしやすいように、あらかじめフォルダ分けしておき、FontExplorer X Proの[SETS]にドラッグ&ドロップで登録します。
なお、同じフォントを異なるセットに登録することが可能ですので、たとえば、プロジェクトごとにセットを作っておくこともオススメです。
Type 1フォントの扱い
PostScript Type 1版とTrueType版のHelveticaは、「Helvetica Medium」(T1)と「Helvetica Regular」(TT)のようにフォント名が異なるだけでなく、形状も異なるためリフローの原因になります。そこで、TrueType版とType 1版のHelveticaのどちらを使うか明示的に指定を行い、第三者が制作したドキュメントでも意識的に確認作業などを行う必要があります。
Mac OS Xでは、システムフォントに「/System/Library/Fonts」内にある「Helvetica.dfont」を使っています。「dfont」はTrueTypeフォントのため、Type 1形式のHelvetica(やHelvetica Neue、Futura)を使うのはちょっとやっかいです。
Type 1形式のフォントを使えるようにするには、Illustrator、InDesignと同階層の「Fonts」フォルダーに入れます。
Illustratorでは、Type1、TrueTypeとも認識します。
InDesignではType1のみ認識します。
NG集
(1)「ライブラリ/Fonts」、「ユーザー/(ユーザー名)/ライブラリ/Fonts」はシステムレベルでNG
「ライブラリ/Fonts」または「ユーザー/(ユーザー名)/ライブラリ/Fonts」に、Type 1のHelveticaを入れると、次のようなアラート(警告)が表示されてしまいます(つまり、ここにはおけません)。
(2)非推奨になった「Application Support/Adobe/Fonts」
「/ライブラリ/Application Support/Adobe/Fonts」または「/ユーザー/(ユーザー名)/ライブラリ/Application Support/Adobe/Fonts」
現在、「/Library/Application Support/Adobe/Fonts」フォルダーの使用をアドビは推奨していないようです。
追記(2013年4月27日):
以前の記事では「システム/ライブラリ/Fonts」やIllustrator.app内のフォントも整理して、さらにフォント環境を最小化することをご紹介しています。
基本的に、これらはアンタッチャブルな領域として、2013年版ではさわらない方針で解説しています。
追記(2013年9月4日):
Illustrator CS6/CCで「エラーが発生したため、カラーパレットを表できませんでした」というメッセージが出ると、[アピアランス]パネルがきちんと表示されないなどのトラブルが多発します。
「Verdana.ttf」の有無によって引き起こされるようです。
どうでもいいけど、ツッコミどころ満載ですね...
- 表できません→表示できません
- カラーパレット→カラーパネル
追記:
Illustrator CCでは「Verdana」がインストールされていないと、Illustratorそのものが起動しません。
その場合には、「Verdana」をアクティベートします。