バックアップ作業効率化のコツ
不慮のデータ損失は、プロとして言い訳できない。しかも、損失したデータを取り戻すための時間や労力は、金額にしたら相当な額になるだろう。
ハードやソフトは稼げばまた買えるが、時間をかけても同じようにできないデータも少なくないものだ。マーフィーの法則よろしく、手を抜いたときに消失してしまうのがデータである。ここでは、「データは財産」という観点からとらえていきたいと思う。
まず、バックアップの三箇条についておさえておこう。その三箇条とは「バックアップ先は異なるメディアに」、「バックアップは最低ふたつ」、「朝イチにやる」である。
バックアップ先は異なるメディアに
同一ハードディスク内の複製はバックアップとは呼ばない。そのボリュームごとお陀仏になればすべてがお釈迦になる。
そこで、別のハードディスク、MO、CD-R、DVD-Rを活用しよう。CD-Rに劣らず、DVD-Rのメディアも安価なものが出回ってきた。
また最近、ブロードバンド化にともないFTPサーバにバックアップするという選択肢も現実的なものとなっている。たとえオフィスごとなくなったとしても、別の場所に保存されているという意味では究極のバックアップといえる。
バックアップは最低ふたつ
コピー中に、複製元と複製先が同時にトラブり、読めなくなることがある。この対処法として、最低ふたつのメディアにバックアップすることをお勧めする。
MOの場合、月・水・金用と、火・木・休日用に分け、交互に利用することになる。
朝イチにやる
バックアップは出社後、朝いちばんに行うこと。これがとても大切である。
帰り際は集中力が落ちていたり、面倒になったり、急いでいたりと、バックアップ作業を後回しにする理由が山積みである。
朝のスッキリしたアタマで行うことに意義がある。その日に何かあったとしても、最悪、その日の朝の状態まで戻ることができる。
バックアップをシステム化するために
これらを踏まえたうえで、さらに万全を期するため、バックアップシステムの導入を検討 するのもよいだろう。
CD-R、CD-RW、DVD-Rなどの場合、追記に対応できることもあるが、バックアップの観点から考えると、基本的には焼いたら終わりが基本だ。
作業効率を考えると、MOやハードディスク、FTPサーバへのバックアップの場合、差分コピー(インクリメント・バックアップ)できるかが鍵になる。というのは、Mac OSやWindowsでのファイルコピーは基本的に上書きコピーであるため、時間がかかってしまうためだ。
また、データはバラバラの場所に置かず、データ用のパーテーションを用意するとよい。どのファイルをバックアップするかを探す手間が不要になり、漏れがなくなる。
ネーミングルール
さらに強くお勧めしたいのは、インターネットへの対応、クロスプラットフォームへの対応を前提に、ファイル名には英数字とアンダースコアのみを用い、拡張子をつけるようにしていくとよいだろう。バージョン違いのデータや、作成日をどのようにファイル名に反映するかのネーミングルールをしっかり確立し、守るようにすればよい。
これらを徹底すれば、100%はあり得ないが、かなり高い確率でデータを守ることができるだろう。貴重な財産を一瞬にして"ふい"にしたくなければ、日常的な作業として、確実に取り組んでほしい。
追記
かなり前に書いたコラムの転載です。
現在はTime Capsuleがあるので、あまりここまで執念深くならずとも...という気がしないでもないですが、やっぱりひとつでは心もとないので。ご参考までに。
追記(2011年11月4日):
今的には、DropboxなりSugarSyncを有料プランで契約し、「書類」フォルダまるごとバックするのがオススメです。意識せずにバックアップされていることはもちろん、次のようなメリットが得られます。
- ブラウザの管理画面でアクセスすれば、削除済みのファイルを取り出せる
- ブラウザの管理画面でアクセスすれば、古いバージョンを取り出せる