「ここまでインデント」って使ってますか
InDesignに搭載されている小粒だけれど便利な機能、「ここまでインデント」使ってますか?
このブログに訪れるほとんどの人は知っているんでしょうけれど、知らない人が意外と多いことも事実です。
私は組版業者として、デザイナーさんが作るさまざまなInDesignデータを受け取りますが、デザイナーさんは、かなりの確率でこの機能を知りません。行末に改行を入れて、次行の頭にスペースを入れて調整しているデータを、何度見たことか。まぁ、スタイル機能すら使わない人が多い(ホントに多いんですよ!)ですから、「ここまでインデント」を知らなくても当然かもしれません。そんな状態のデータで、印刷所へのデータ入稿までの全行程を、まともなスケジュールでこなせるのか、一度やってみてほしいわ......。ここで愚痴言っても仕方ないのですが(笑)
さて、話を戻します。
「ここまでインデント」とは、突き出しインデント※(ハンギングインデント)を、コマンド一発で簡単に実現する機能です。突き出しインデントとはこういうやつ(ここでは、丸付き数字が1字分突き出た形になっている)。
この手のインデントは普通、「左/上インデント」と「1行目左/上インデント」を組み合わせて成形したりしますが、そんなことをしなくても、書式>特殊文字挿入>その他>「ここまでインデント」文字の挿入で、簡単に実現できます(右クリック>特殊文字の挿入からもいけます)。
さて、こんなに便利な機能なんですが、実は大きなバグがあります。この機能のバグは、旧バージョン(CS2くらい?)から現CS6まで連綿と受け継がれており、CS3ではいったん直ったように見えましたが、CS4で再発。もはやAdobeにとっても鬼門となっています(笑)
このように、「ここまでインデント」文字の前にスペースが入った場合、指定した場所で「ここまでインデント」が機能しません(本来は、1行目丸数字の後の「こ」と2行目の「ン」の縦ラインが揃っていないといけません)。ここでいうスペースとは、全角、欧文スペースのみならず、書式メニューから入力できる全ての特殊スペースが含まれます。このせいで、巷では、DKI(だいたいここまでインデント)などと揶揄される始末。
しかし、@monokanoさんによりバグ回避法(対処法)が発見され、ようやくDKI(どうにかここでインデント)に落ち着きました(笑)
単純な形の突き出しインデントなら、スペースを入れる部分にタブを入れて数値を指定するとか、「左/上インデント」と「1行目左/上インデント」を設定することで回避できるのですが、そうもいかないレイアウトの場合、この対処法は完璧な解答を返してくれます!
このバグについてのいきさつは、ここ(InDesignの「ここまでインデント」はDKIか)にまとめられています。
また、細かい検証については、@works014さんの『なんでやねんDTP』のこの記事が詳しいです。
バグ回避法が発見されたとはいえ、いつまでこんなバグを放置するのでしょうか。
※Wordでは、このインデントのことを「ぶら下げインデント」というらしいのですが、私は訳語が適切ではないと思っています。ハンギングは、たしかに「ぶら下げる」などの意味がありますが、日本語がイメージする「ぶら下げる」は、「何かの末尾」もしくは「何かの下側(下向き)」にくっついている状態です。「ぶら下げインデント」と言われてもイメージしにくいんじゃないでしょうか。ハンギングには、「ぶら下げる」のほかにも、「突き出た」という意味があるので、やはりここは「突き出しインデント」と訳すのが適切かと思います。