Illustratorを使うとき、私が手放せない10個のスクリプト

この記事は鷹野雅弘によって執筆されました。
公開日:2015年1月 4日、更新日:2017年1月 5日
 

最近、セミナーでスクリプトを紹介すると評判がよいので、10個選りすぐってみました。

これらを提供してくださっている作者さんたちに感謝します。

はまりどころを見つけると「むちゃくちゃ早く終わる」「手作業ではムリ」なことが実現できるので、「ここでこういうことができると快適になるのに」をリストアップしておいて、たまに棚卸ししてみるとよいと思います。

追記

2017更新版を公開しました。

なぜ、スクリプトを使うの?

Illustratorでの作業を効率化するには、キーボードショートカットやアクションを使う方法がありますが、そもそも次のような場合には、有償のプラグインを使うほか、スクリプトを使う方法があります。

  • Illustratorではできないこと
  • できるけれど手間がかかること(→結果としてミスが生じやすいこと)

なお、スクリプトには、Mac/Windows両方で使えるJavaScriptがよく使われます(過去には、MacはAppleScript、WindowsではVBScriptが使われることが多かったです)。

拡張子は「jsx」。手を加えるにはソースコードを読む必要がありますが、使うだけならブラックボックスのまま使えます。

Illustratorだけでなく、PhotoshopやInDesignなどのアプリケーションもJavaScriptによる制御が可能です。

スクリプトの利用方法

『10倍ラクするIllustrator仕事術』からの抜粋

Illustratorでスクリプトを動かすには、次の3つの方法があります。

PDFのアイコンをクリックすると『10倍ラクするIllustrator仕事術』(増強改訂版)の抜粋版(「スクリプトの使い方」)をダウンロードいただけます。

  • 「/Applications/Adobe Illustrator CC 2014/Presets/ja_JP/スクリプト」に入れる(Illustratorを再起動すると[ファイル]→[スクリプト]のサブメニューに表示される)※「スクリプト」にアクセスしやすいようにエイリアス/シンボリックリンクを作成しておくとよい
  • command+F12キーでスクリプトファイルを指定する([ファイル]→[スクリプト]→[その他のスクリプト])※スクリプトファイルがどこにあっても実行可能
  • ScriptKeyAi、SPAi、Keyboard Maestro、Ai Script Assist、Script Slot Liteなどを使う(キーボードショートカットを与えることができる、スクリプトファイルがどこにあっても実行可能)

1. 複数行のテキストを、改行ごとに、別のテキストにする

行ごとに個別にアピアランスを与えたい場合などに、ばらばらにしたいことがあります。

たけうちとおるさんの「TEXTをTabと行で分割」を使うと、改行だけでなく、タブでも分割できます(オリジナルテキストが残ることに注意)。

2. エリア内文字をポイント文字に変換する

Illustrator CC以降、[書式]メニューの[ポイント文字に切り換え]を使って、エリア内文字をポイント文字に変更することができます。

しかし、オーバーセットテキスト(あふれ文字)が消失してしまいます。また、エリア内文字内の折り返しが改行として残ってしまいます。 こちらのスクリプトを使うと、あふれ文字が消失せず、また、折り返しは無視されます。

3. 選択したテキストの編集をダイアログボックス内で行う

ズームアウトしていて、ほぼ見えない状態でも編集できる。複数のテキストオブジェクトを選択していると、順番に変更できます。インライン入力ができなくて不満な方にもオススメ。

4. 複数オブジェクト(およびグループ化されたオブジェクト)の幅や高さを指定サイズにする

[変形]パネルで個別に行うことができますが、このスクリプトを使うと、まとめて実行可能です。

「指定サイズでじゃなくて、どっちか大きい方に揃えたいんです」とお伝えしたところ、作ってくださいました!!!

5. 選択しているオブジェクトをアートボードサイズのサイズに合わせる

アートボードサイズのサイズを、選択しているオブジェクトに合わせるのは、[オブジェクト]メニューの[アートボード]→[選択オブジェクトに合わせる]で可能ですが、逆バージョンが欲しいケースがあります。

なお、このスクリプトには「アートボードに対するマージン」(負の値を指定すれば内側にも)、「すべてのアートボードに複製」のオプションがあります。

GOROLIB DESIGNさんのスクリプトを使って、新しくオブジェクトを作成する方法もオススメです(現在、私はこちらを使っています)。

6. 選択したアイテムをドキュメントウインドウの中央に、画面いっぱいに表示する

複数のアートボードを使って制作を行っているとき、スクラッチエリア(アートボード外の領域)にオブジェクトをおいているときなどに、フォーカスしたいときに便利。

三階ラボさんの#Illustrator で選択したアイテムを中央に100%表示するは100%バージョン。

7. 複数ファイルをまとめて下位バージョンに別名保存する

フォルダー内の複数ファイルを、まとめてバージョンダウンするスクリプト。デフォルトではバージョン10形式に保存するようになっていますが、変更可能。

ただし、Illustrator CS6以降、「ドロップシャドウ」、「光彩(外側)」、「ぼかし(ガウス)」の効果を使っている場合、Illustrator CS5以下に保存すると分割・統合されてしまうので注意(事前にそれらの効果をオフにしておくのが望ましい)。

8. 選択しているオブジェクトを、アンカーポイントの位置に複製する

ニッチなニーズですが、解説画像でアンカーポイントを表現したいとき、青い正方形をアンカーポイントの位置に置きたいことがあります。

この際にシンボル化しておいたオブジェクトをこのスクリプトで配置すると便利。2つのスクリプトの組み合わせによるナイスなアイデアです。

高橋としゆきさんが制作された「名前でオブジェクトを選択.jsx」も、お仕事によっては活用度高いと思います。

9. 線幅を変更する(キーボードショートカットで変更できるように)

これ、できないかな!?って、ずっと待ち望んでいた方が多いハズ。私は、Keyboard Maestroでcommand+option+control+<(>)を設定しています。

10. アートボードやレイヤーをサクっと書き出す

Webの方向け。

Illustratorのアートボードを書き出すと「ドキュメント名_アートボード名.png」となってしまいます。

三階ラボさんのスクリプトを利用すると、アートボード名のみで書き出したり、接頭辞/接尾辞を与えるなど自由度が高まります。

単純に、アートボード名で書き出したい方は、はてゆきさんのスクリプトが最適。

なお、CC以降ならLayer Exporterを使えば、スライスを行わずに、レイヤーごとに書き出しが可能です。

Layer ExporterはIllustrator CC 2015には非対応。quick exporterや有料のMagic Exporterを使いましょう。

三階ラボさんのアートボード作成(再構築)のスクリプトがすさまじくスゴイです。特に面倒なアートボード名の管理。

GOROLIB DESIGNさんの新規アートボードの挿入にキーボードショートカットを与えるスクリプトも有益です。

キーボードショートカットを使ってスクリプトを実行する

デフォルトでは、[その他のスクリプト]にしかキーボードショートカットを設定することができません。ScriptKeyAi、SPAi、Keyboard Maestro、Ai Script Assist、Script Slot Liteを利用することで、キーボードショートカットを使ってスクリプトを実行することができます。

 キーボード
ショートカット
スクリプトファイル
の置き場所
金額対応
[ファイル]メニューの
[スクリプト]の
サブメニュー
設定できない*「スクリプト」フォルダー-デフォルト
(Mac/Win)
その他のスクリプトcommand+F12
Ctrl+F12
どこでもOK-デフォルト
(Mac/Win)
ScriptKeyAi自由度高いどこでもOK無償Mac
SPAi自由度高いどこでもOK無償Mac
Keyboard Maestro自由度高いどこでもOK4,532円Mac
Ai Script Assist自由度高いどこでもOK1,285円Windows
Script Slot Litecommand+、shiftキー、Fキーのみ(標準と同様)どこでもOK無償Mac/Win

Keyboard Maestroでの運用は三階ラボさんの記事を参考にされてください。

番外編

Illustrator CS6以下で、個別に角丸に設定したい

AI | PICTRIX BetaBoxさんの「R_Corner」「Re_Corner」を使うと、ライブコーナー機能のないIllustrator CS6以下でも、個別に角丸を設定することができます。数値指定はmm単位。入力後、tabキーを押すと更新されます。

s.h's pageさんの角を丸くする+でも可能です。

[プレビュー]オプションのトグル

Keyboard Maestroを使って、[プレビュー]オプションのトグル(ON/OFF)をキーボードショートカットで行うことができます。

スクリプト関連のリンク(スクリプト配布サイト)

スクリプト関連のリンク(Illustratorのスクリプトをこれから勉強するには)

スクリプト関連のリンク(その他)

スクリプトとアクション

アクションからスクリプトを呼び出すことはできません。正確には、[メニュー項目の挿入]を使えば、アクションにスクリプトを登録できるのですが、Illustratorを再起動すると消えてしまいます。

スクリプトからアクションを呼び出すことはできます(CS6以降)。

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