効果を使ったIllustrator CS6書類をダウングレード保存すると、ビットマップ化してしまう問題
先日のDTP Festa in Tokyo 2012 Decemberセミナー終了後に個別にいただいた質問で次のようなものがありました。
効果を使ったIllustrator CS6書類をダウングレード保存すると、ビットマップ化してしまうんです。
いやいや、そうだっけ?と思って検証してみたんですが、確かに...
検証データ
長方形ツールで四角形を描き、それぞれに[ドロップシャドウ]効果、[ぼかし(ガウス)]を設定しました。
これをCS5以下にダウングレード保存すると、それぞれのオブジェクトがビットマップになってしまいます。
あれ〜?そうだっけかな?と思って検証したところ、次のような結果でした。
作成 | ||||
---|---|---|---|---|
CS4 | CS5 | CS6 | ||
保存 | CS3 | |||
CS4 | - | |||
CS5 | - | - | ||
CS6 | - | - | - |
一言でいうと、CS6からのダウングレード保存はNG、CS5/CS4からのダウングレード保存はOKということになります。
回避策?
次の方法でもNGでした。
- 保存時の[Illustratorオプション]ダイアログボックスで[PDF互換ファイルを作成]のチェックをはずす
- Illustrator CS6とIllustrator CS5を同時に開いておいて、Illustrator CS6でコピーしたオブジェクトを、Illustrator CS5でペースト
- PDF(Illustratorの編集機能を保持)で保存して、Illustrator CS5で開く
回避策として、考えられるのは、「効果を一度切って保存し、下位バージョンで効果を付け直す」くらいかな。
もし、何かお知恵をお持ちの方がいれば教えてください!
検証用のファイルをおいておきます(nがついたのは、そのバージョンで作ったファイルで、それ以外は、下位バージョンから上位保存で作業しました)。
追記:
hamkoさんからツイートいただきました。
これ、互換ガイド見るとそーゆーもんなのかなって感じがする。/効果を使ったIllustrator CS6書類をダウングレード保存すると、ビットマップ化してしまう問題 dtp-transit.jp/adobe/illustra... @dtp_transitさんから
— hamko(サンタモード)さん (@hamko1114) 12月 8, 2012
互換ガイドとは「Illustrator CS6互換ガイド」のことですね。
テキスト互換とありますが、最終ページに、テキスト以外の機能の互換性について詳細の表が掲載されています。
このPDF、むっちゃ有益なので、ぜひダウンロードしてみてください。
追記(2012年12月10日):
Facebookにてコメントいただきました。
アドビのヘルプにて互換性がないことが明記されているようです。
Adobe Illustrator CS6 の「ドロップシャドウ」、「光彩(外側)」、「ぼかし(ガウス)」の各効果において仕様変更が行われています。そのため、Illustrator CS6 で作成したアートワークを CS5 以前の形式で保存すると、これらの効果は分割・統合されます。
回避策として、「SVG フィルターのぼかしやドロップシャドウ」を使うとされています。
旧バージョンの Illustrator で開く必要がある場合は、SVG フィルターのぼかしやドロップシャドウで代用してください。
五十嵐さん、ありがとうございます。
追記(2012年12月10日):
ツイートをまとめていただきました。
これにさらにまとめました。
追記(2013年10月10日):
2013年6月に開催されたdot-ai, Vol.1「超絶アピアランス祭り」の樋口 泰行さんと大倉 壽子さんの「最近のIllustrator新機能の使いどころ」セッションにて、互換性を保ったまま、Illustrator CS6/CCでドロップシャドウをかける裏技が紹介されていました。何かの機会にご紹介します。
追記(2014年10月31日):
『10倍ラクするIllustrator仕事術』(増強改訂版)の179ページ「CS5以下にバージョンダウンできるドロップシャドウ」にて紹介しています。