Source Han Sans(源ノ角ゴシック)/Noto Sansがリリースされました

この記事は鷹野雅弘によって執筆されました。
公開日:2014年7月21日、更新日:2014年7月22日
 

2014年7月15日、Source Han Sans(Noto Sans)というオープンソースフォントファミリーがリリースされました。7つのウエイトが用意されている高品位なフォントです。

ややこしいリリース体系

これまでのフォントに関する常識と異なる部分が多く、ちょっとややこしい感じです。

Google はこのフォントを Noto Sans CJK として新たに Noto ファミリーに加え、アドビは Source Han Sans として Adobe Source ファミリーに加えます。アドビはタイプフェイスデザインの著作権を保持しますが、フォントは Apache License, version 2.0 のもとにリリースされますので、どなたでも自由にお使いいただけます。

リリース元 フォント名 リリース形式 Illustratorなどでの
フォント名
アドビ Source Han Sans マルチ言語版
単言語版 源ノ角ゴシック JP
OTC版
TypeKit版 Source Han Sans JP
Google Noto Sans 単言語版 Noto Sans Japanese
  • アドビとGoogleからリリースされている。アドビからリリースされているものは「Source Han Sans」、Googleからリリースされているものは「Noto Sans」のように呼び方が異なる
  • アドビからリリースされている「Source Han Sans」には、「マルチ言語版」、「単言語版」、「OTC版」、「TypeKit版」の4つがある。
  • ダウンロードした単言語版は、Illustrator/InDesignの[文字]パネルでは「源ノ角ゴシック」(ゲンノカクゴシック)と表示される。Typekitで同期したものは「Source Han Sans JP」と表示される。これらは共存できない

▼Illustratorの[文字]パネル

▼InDesignの[文字]パネル

ウエイト名

ややこしいことに、フォントによってウエイト名が異なります。

Noto Sans 源ノ角ゴシック
Source Han Sans
ウェイト
Thin ExtraLight 100
Light 300
DemiLight Normal 350
Regular 400
Medium 500
Bold 700
Black Heavy 900

開発

Google、アドビ、および、Changzhou SinoType Technology、イワタ、そして Sandoll Communicationなどのフォントメーカーとの協力によって開発されたそうです。

Robotoとの調和

Noto Sansの欧文部分には、Androidの標準フォントであるRobotoが使われていると書かれていることがありますが、それは誤りで、Source Han Sans、Noto Sansともに、同じ欧文を使っています。

Robotoとの調和を意識して開発されており、組み替えたサンプルが掲載されていると思われます。

Robotoフォントについてはこちらの記事をご覧ください。

we released a new version of the Roboto type family

Robotoフォントは、リデザインされたものがリリースされたとありますが、現在ダウンロードできるバージョン(1.2)は、リデザイン前のもののようです。

Noto?能登?

Notoは「No 豆腐」に由来するそうです。つまり、「豆腐」(コンピューターで文字が表示されないときに表示される四角形)を排除する、という意味合いとのこと。

When text is rendered by a computer, sometimes there will be characters in the text that can not be displayed, because no font that supports them is available to the computer. When this occurs, small boxes are shown to represent the characters. We call those small boxes “tofu,” and we want to remove tofu from the Web. This is how the Noto font families got their name.

「源ノ角ゴシック」はなんて読むの?

「源ノ角ゴシック」は「ゲンノカクゴシック」と読むそうです。

DTPではどれを使えばいいの?

ものかのさんの記事をご覧ください。

要点を抜き出すと…

  • DTPでは「単言語版だけを使う」のがベスト
  • TypeKit版はInDesign CS5以降のパッケージでフォント収集されない(ダウンロード版は収集される)
  • 全角ダーシを2つ並べると2倍ダーシ専用の合字字形になる(ただし、U+2015を禁則処理セットの分離禁止文字に追加する必要アリ)

DTPでの注意点

Illustratorで源ノ角ゴシック(Source Han Sans/Noto Sans)を使って入力すると、バウンディングボックスが(改行でもされているように)大きく表示されます。

そのため、アウトラインをかけずに[形状に変換]を行うと、次のサンプルのように、とても大きな図形になってしまいます。

[オブジェクト]メニューの[アートボード]→[オブジェクト全体に合わせる](または[選択オブジェクトに合わせる])を実行しても、下に余白が生じてしまってとても不便です。

個人的な感想

  • 「りょう」に似てるな〜と思ったら、西塚涼子さんがデザインされていました。
  • 第一印象、「ら」と「り」が大きい…と思いました。しかし、「スモールデバイスで読みやすい、すっきりとしたデザイン」というデザインコンセプトによって開発されているとのことで、スモールデバイスではよいバランスなのかもしれません(要検証)。

なお、スモールデバイスへの対応だけでなく、黒バックに白文字で使われることも意識されているようです。

参照リンク

この記事の執筆にあたり、下記のサイトを参考にしました。

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