5つの「く」

「ムリ・ムダ・ムラ」とか「4S」(整理・整頓・清潔・清掃)、「ヒヤリ・ハット」、「KY(危険予知)」など、工場作業では品質保持(品質向上)や危険回避のためのスローガンがありますが、DTP、グラフィックデザインなどの領域でこれにあたるものを『5つの「く」』(ムラなく、モレなく、直しに強く、手数を少なく、美しく)として、まとめてみました。

  • ムラなく:安定化、標準化
  • モレなく:作業や修正のヌケがないように
  • 直しに強く:ライブ(Ai)、非破壊(Ps)
  • 手数を少なく:自動化/半自動化
  • 美しく:グラフィックだけでなく日本語も

ムラなく

データ作成に複数のアプローチがある場合、どれを採用するのかのプロコン(メリット・デメリット)を明確にし、「標準化」の意識の元、人によって作成方法が異なることを少なくする。いわば、操作手順の「まぜるな危険」。

  • データをやりとりする場合、バージョン情報や制作に関しての「申し送り」(作業メモ)を付けることを心がける
  • 作業内容によっては、誰がやっても同じ結果になるようにマニュアル(手順書)を準備していきたい

「標準化(standard)」という用語には、相互運用のための広く合意されたガイドラインという意味が含まれ、「標準化」はそのような標準を確立する過程を指すのが一般的である

「まぜるな危険」は、アプリケーションのバージョン(メジャー、サブ)、および、ドキュメントの保存バージョンにも言える。「どのバージョンで作業するのか」「どのバージョンで保存したのか」を意識する必要がある。特にInDesignは下位互換性がないため、注意が必要。ファイル名にバージョンを付けておくと一目瞭然。

モレなく

一括更新な可能なスタイル機能(文字スタイル/段落スタイル、グラフィックスタイル)などを有効に利用し、作業や修正のヌケがないようなデータ作りを心がける。 また、InDesignのプリフライト機能など、目視以外の確認方法を得ることを検討する。

面倒で手間がかかる単純作業にはモレが生じやすいので、スクリプトなどの活用も視野に入れたい。

事故が生じやすいフローでは、チェックリストを装備していきたい。

直しに強く

Illustratorならライブ(アピアランス、複合シェイプ)、Photoshopなら非破壊(調整レイヤー、スマートオブジェクト)などを再編集可能なデータ作りを心がける。 「モレなく」で挙げたスタイルの活用による一括更新を積極的に利用する。

たとえ、一人で制作しているとしても、数ヶ月後の自分は他人。他人が見ても説明なしに理解できるレイヤー名/ファイル名の付け方、レイヤーの整理方法を工夫していきたい。

手数を少なく

キーボードショートカットを積極的に利用する。同じ操作でもアプリケーションごとに設定が異なる場合には共通化を心がける。

単純な繰り返し作業には、アクション、バッチ、ドロップレット、スクリプトなどを用いつつ、アクション、スクリプトにキーボードショートカットを設定できないか検討する。

一度作成したアートワークなどを使い回せるように、「オレオレ素材集」を育てていく。

美しく

制作を単純な「作業」に終わらせず、世の中に出る“最後の砦”であることを意識し、支給原稿はそのまま使わない。

美しい日本語組版への知見を高め、それを実現するためのノウハウを構築していくこと。

その他

OS、アプリケーション、データ送受信、バックアップなどの手法(ハード的にもソフト的にも)は日々変化していく。安定した環境を構築することはもちろんだが、変化適応力を高めることに心を砕く。

  • 過去のデータを使い回すときには、別名保存してから作業をスタートする
  • 急いでいるときこそ、保存を念入りに。あせっているときほどデータ消失が起きやすい

TimeMachineやDropboxForeverSave 2によるバージョン管理などを用い、過去のバージョンにさかのぼれるようにしておく。

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